文章を書いていて、漢字にすべきか、ひらがなにすべきか迷うことがあると思います。
パソコン携帯スマホタブレットの変換機能は漢字の使用にとっては便利ですが、その分ひらがなとの使い分けで悩む機会は増えているはず。
この記事では、どの場面で漢字とひらがなを使い分けるべきか、また参考にすべきフォーマルな使い方とはどういうものか、についてまとめました。
文字を開く、文字を閉じる
出版業界発の用語で、文字を”開く”、”閉じる”という言い方があります。
漢字をひらがなで表記する行為を「文字を開く」、逆が「文字を閉じる」です。
「文字を開く」を「文字をひらく」と表記することを文字を開くといいます。
「漢字」と「ひらがな」の割合が文章の見た目を決める?
スーツ姿の人に抱く印象と、Tシャツ短パンの人に抱く印象が違うように、文の印象(カタさ、重さ、むずかしさ)もある程度見た目で判断されます。
あたりまえの話ですが、漢字の割合が高ければ字面(じづら)は黒味がち、ひらがなばかりだと白味がちになります。
読み手は”黒さ”によって少なからずその文章の難易度と情報量を想像します。
書き手には、自分が扱う内容がどのくらいの難易度なのか、またどのくらいの難易度であるとアピールしたいかを客観的に判断する必要があります。
結論めいたもの:漢字本来の意味から離れたものを”ひらく”
漢字のメジャーな成り立ちは、形を簡略的に絵にした象形文字です。そのため一字ごとに意味があり、表意文字というものにカテゴライズされます(アルファベットは文字に音が割り与えられた表音文字)。
そのことを踏まえると、その漢字本来の意味から離れて使われるものは”ひらく”ことが自然です。
それが僕と言う存在だ。
それが僕という存在だ。ティッシュで拭いて終わった事になる。
ティッシュで拭いて終わったことになる。食べて見ると美味しかった。
食べてみると美味しかった。
そうすることで漢字部分が際立ち、理解促進に役立ち、見た目が引き締まります。
加えると、日本語は間違いなく「ひらく」方向へ向かっています。
文字を合理的に使っていく場合あたりまえの流れだと思います。
PC携帯スマホの変換機能の登場で手書きの時代とことなり漢字を書けることに価値が減ったことが理由かもしれません。
注意:文中で統一する
「ひらく」方向で考えるなか、どうしてもこれは漢字でないと気が済まない、という判断もまた認められるべきです。
漢字だろうがひらがなだろうが間違って使っていない限りゼッタイのルールはありません。
とはいえ、いずれの判断をしたとしても外せない大切なルールがあり、それは文中で気まぐれで表記を変えないことです。
付録:文字を”開く”界でメジャーなもの一覧
最後に、本来の意味から離れて使われがちなものをまとめてみました。
あまりにもひらがなが多い場合は左側を採用するなど、臨機応変に対応してもOK。
”やわらかい見た目で充実した内容”にかなった使い方の参考にしてください。
漢字(閉じる) | ひらがな(ひらく) |
~する程 | ~するほど |
~する事 | ~すること |
~の時 | ~のとき |
~の後 | ~のあと |
~等 | ~など |
~他 | ~ほか |
~達 | ~たち |
~毎 | ~ごと |
~迄 | ~まで |
~の下で | ~のもとで |
~する内に | ~するうちに |
~に当たって | ~にあたって |
~して見る | ~してみる |
~して置く | ~しておく |
~して行く | ~していく |
~に成る | ~になる |
一つ | ひとつ |
様々な | さまざまな |
殆ど | ほとんど |
専ら | もっぱら |
予め | あらかじめ |
出来る | できる |
~と言うジャンルに於いて | ~というジャンルにおいて |
~の様に | ~のように |
何時 | いつ |
何処 | どこ |
やろうと思っていた所 | やろうと思っていたところ |
矢張り | やはり |
最早 | もはや |
然し | しかし |
遂に | ついに |
故に | ゆえに |
所謂 | いわゆる |
尚更 | なおさら |
中々 | なかなか |
益々 | ますます |
尤も | もっとも |
有難い | ありがたい |
伴う | ともなう |