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文章とレトリックに関する覚ゑ書き

【ことばの地雷】誤用

「的を得る」について|誤用問題,代わりの表現

2017/04/25

普段「的を得る」という表現を使っていますか?

ご存知の通り「ものごとの核心、要点をついている。言いたいことをうまく表している。」という意味です。

的を得た意見、的を得た指摘、的を得た内容… 一般的な表現なので、あたりまえに使っていると思います。

ただし、無意識で使っている場合は要注意です。

この記事では、「的を得る」についておさえておきたい注意事項についてご紹介しています。

1、誤用…?

まず、「的を得る」はしばしば誤用(日本語の間違い)として取り上げられてきた表現、だということを知っておかなければなりません。

最近まで長い間、よくTVや本などで誤用の代表格のように扱われてきました。

 

 

 

 

的は「得る」ものではなく「射る」ものなの。つまりあなたの言いたいのは「的を射る」ね?「正鵠を得る」という表現ならOK。明治時代に使われ始めたこの表現の「得る」と混同したことがが間違いの始まり。以後絶対に間違えないようにね。

しかし最近、その扱いに疑問を持つ人が増え、説得力を増します。そしてついに「的を得る」は辞書(三省堂国語辞典・第七版)に掲載されました。その言い分は以下。↓

 

 

 

 

「的を得る」は「的を射る」の誤り、と従来書いていおりましたが、撤回し、おわび申し上げます。「的を得る」の「得る」は、「当を得る・要領を得る」などと同様に、は「うまく捉える」の意として解釈可能と結論しました。

2、重要なのは誤用かどうかではない?

しかし、ほんとうに大事なのは誤用かどうかではありません。

ちゃんと問題があることを知ったうえで、意識して使うこと(また使わないこと)。

誤用と思っている人がいること、誤用ではないと思っている人がいること、そして、はっきりと「誤用である!」と思っていない人にさえ、

 

 

 

 

 
この人あたりまえに「的を得た」とか書いているけど、もしかしていわく付きの表現だということを一ミリも知らずに使ってるかも。だとしたら、うーん・・・。

と思われかねないということ。

そう考えると、基本的に使わないほうがいいでしょう。

的を得るというフレーズに無類の愛着があるなら止めませんが、日本語にはほかにいくらでも表現があります。

日本語の誤用は、それ自体が罪なのではなく、説得したり何かをうまく伝えたい場合、読み手のノイズになるからやめた方がいい、ということです。

文章の目的、つまり「読み手をなるべくこちらの想定したゴールへ導く」ために言葉を選ぶ、そのための知識の一つとして押さえておかなければなりません。

3、代わりに使える表現

そのつど文脈やシチュエーションにあった表現を使うのが一番だと思います。

どうしても的を得るを回避したい場合のために、「的を得る、得た」の代わりに使える表現をまとめてみました。参考程度に使ってください。

 

 

 

 

 

 

的を得た〇〇≠

 

 

的確な〇〇

適切な〇〇

気の利いた〇〇

腑に落ちる〇〇

鋭い〇〇

要点をとらえる

核心をとらえる

本質をとらえる

的を射た〇〇

正鵠を得た〇〇

正鵠を射た〇〇

ツボを押さえた〇〇

心の中で親指を立てたくなるような〇〇

納得の〇〇

言いたいことをすべて言ってくれた

おもわず膝を打つような

おまけ、日本語のお茶目さ

「独壇場(どくだんじょう)」という言葉も、もとは単なる読みまちがいでした。

正しくは、独擅場(どくせんじょう)。

独擅場の擅(せん)という手へんの字が見慣れなかったため、余りにも多くの人に「花壇」や「仏壇」の壇(だん、土へん)と見間違えられ、そのまま定着してしまったのです。

ひとりで壇の上に立つ!というイメージがハマったのかもしれませんね。

ひょっとすると、コトバの歴史はそんなものかもしれません。

誤用とは、間違っているから悪い、のではなく、読み手に不信感を抱かせるから悪い、のであって

Filed Under: 【ことばの地雷】誤用

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