寿司屋、魚へんの漢字、湯呑み。「これ(この漢字)なんだっけ」と聞かれる。
または、客を試すタイプの寿司屋に迷い込む。お品書き、容赦ない達筆、空腹。
人生の岐路。ピンチにするのもチャンスにするのも、あなたの魚、および海産物の漢字の知識にかかっています。
魚の漢字は当て字とこじつけのオン・パレード。類推不可。
この記事では、頻出!魚の漢字とその読みの由来をまとめてました。
ただし、由来に関しては想像と脚色も含まれるため、あくまで雑談の参考程度にお考え下さい。
おそらくたいていの人は知らないので大丈夫だと思いますけれどね。
初級編
「鮭」は”形の良い三角形”を表す「圭」の字が使われ、身が裂けやすいことから「サケ」とよばれた。
「鮪」はその広範な活動範囲から”広い場所を囲む”という字義を持つ「有」が当てられ、背中が真っ黒なことから「マグロ」とよばれた。
「鰹」は干されたものがまるで木刀のように「堅」いことからあてられ、”カタウオ”から短くなり「カツオ」とよばれた(木へんに堅いで「樫」カシですがこれも堅い)。
「鮎」は日本書紀に登場する皇后が「占」いに使ったためその字をあてられ、その動きの速さからアイヌ語で「矢」を表す”アイ”が転じ「アユ」とよばれるようになった。
「鯨」はその体の巨大さから一十百千万億ときて大きなものを表す「京」の字を付けられ、「クジラ」で、
「鯉」はウロコが36枚あり今でいう県である「里」が36の町の集合体であったからという強引極まりない由来しか出てこなかった「コイ」で、
「鯖」は背中が「青」く歯が小さい「小歯(しば)」ことから「サバ」、
「海老」はその背中が丸まった姿が老人のようだという理由で海の老人という字を与えられ昔の「エビ」とはブドウ色を指したことから転じたもので、
「秋刀魚」は「秋」に旬の「刀」のような魚で某芸人の実家で売られていたことから「サンマ」と呼ばれ、
「鯛」は”めでたい”魚なのはのっぺりとして”たいら”な体から名づけられた後で、均整の取れた姿から「調」和のとれたという字があてられ「タイ」となりました。
中級編
「鰯」は他の魚のエサになるばかりか水揚げのあとすぐに弱って腐りやすいことから”よわし”が変化し「イワシ」と読み、
「鱒」はその体から細長い酒壺を表す「尊」が与えられ渡来人の言葉で「マスノイオ」と呼ばれていたところから繁殖力が強いことを掛けて「マス」、
「鯵」は”あじ”が良いことから名づけられるという信じがたい大役を任されており、しかも味に「参」るからこの字があてられ、「アジ」といい、
「鮑」は貝は二枚で貝合わせという概念にそぐわぬ一枚貝であることから”合わじ(あわない)”から「アワビ」、「包」は岩にしがみつく様子からという説があり、
「間八」は正面から見ると目の「間」に黒っぽく「八」の字の紋様が見えることからその字をあて、素直に読んで「カンパチ」であり、
「鰤」は有名な出世魚であり時を経た魚という意味で「経魚(ふりうお)」、これが何かの拍子に濁って「ブリ」、この「ブリ」は「3年ぶり」と語源的には同じであり、
「蛸」(寿司ネタとなると「鮹」の場合も)は長い脚から”切った肉”を表す「肖」の字が使われ、かつて手を表した”た”と数が多いことを表した”こ”を組み合わせた「タコ」
「蟹」簡単に分解できるところから「解」と甲殻類で通例使われる「虫」の字の組み合わせで、”堅い甲羅ですぐ逃げる”ことから「カニ」であるという説が面白く、
「鮫」は体をくねらす様子から「交」という字があてられその目の小ささから「小目」が「サメ」となり、
上級編
「河豚」はその字の通り「河の豚」、なぜ河かというと中国では黄河や長江などに生息する種が親しまれていたためで、吹くふくよか膨らむ袋、のように古語から由来する「ふく」が変化した「フグ」で、
「海胆」は内臓を食べることから腸(はらわた)を表す「胆」の字が使われ「海胆」、これを訓読みした「うみい」がなんとなく短縮され「ウニ」となり、
「蝦蛄」は螻「蛄」(オケラ)に似ている「蝦」(エビ)の意で、江戸時代にシャクナゲの花の色(薄い赤紫)に似ていることから「シャコ」と呼ばれ、
「鱧」は中国では雷魚を指しその魚に似ていたことからそのまま採用され、雷魚は強い繁殖力から「豊」かさの象徴で、みっちりと生えた鋭い歯で「食む(はむ)」ことから「ハモ」、
「烏賊」は中国の古い言い伝えで、死んでいるように水面に漂っているところを「烏(カラス)」がついばもうとすると突如として足で襲い掛かることから、烏にとっての「賊」、読み方の由来は「いかめしい形をしているから」という最後にしてなんともピンとこない理由から「イカ」となりました、ということでご勘弁ください。
…これぐらいで知識面は十分でしょう。あとはドヤ顔の準備、寿司屋で話題に困ったらすかさずぶち込んでくださいね。